ハナノサキカタ(旧名:道産子、ベナンへ行く。)

ベナン・ジュグーでJICA青年海外協力隊・野菜隊員として活動。(2017.10〜2019.10)

空芯菜でベナン食作り

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8月はほとんど毎日雨が降っていました。これから乾季に向かうので、9月は雨が減るのかと思われます。協力隊2年間のうち、やはり最初の1年は天気を知り現地の農業を知るという事しかできません。任地であるジュグーは低湿地帯(bas-fond)と呼ばれる低い土地で野菜が栽培されています。そのため、雨季の現在そこで働いている人はとても少ないです。私はというと、農家さんが全然いない中何をしていいかも分からず、自宅で過ごす毎日です。まあ外に出れば何かと新しい発見があるのですが、畑は水浸し、農家さんは居ないとなると野菜隊員らしい活動は難しいです。きっと、もっとやる気のある隊員なら職種関係無しに他の活動をするのかもしれませんが。

さて、そんな水浸しの畑で生き残っている私が育てた空芯菜空芯菜はとても簡単に育つ野菜です。ジュグーより南の街バシラで活動していたO隊員(帰国済)の影響を受け、私もなんとなく育てていました。しかし、ベナン人は「食べ方が分からない」と言ってなかなか食べてくれませんでした。「他の野菜のようにソースにしてみて」と言ってもなかなかいい反応ではありません。そして、私はベナン食の作り方を一切知らないので家で試すこともできません。こりゃ困った、と思いましたがとりあえずその活動は放置していました。そこで、ここ3,4ヶ月暇な時間を過ごしている中で考えました。「そういえばO隊員に頼まれて空芯菜の種子をあげたベナン人家族があった。種子を欲しがるということは育てて食べるのだろう。きっと雨季に種子をまくだろうから、その頃様子を見にいこう。」

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8月某日、その家に行ってみました。空芯菜発見!1ヶ月ほど前に種子をまいたそうです。この家のお母さんに、「今週中に空芯菜を収穫して持ってくるからソースの作り方を教えて」と頼み、この日は帰りました。これでベナン人の口に合う空芯菜料理が知れる!と思い、その5日後空芯菜を持っていきました。のんびりやですみません。

 

というわけで教えてもらった空芯菜ソースの作り方!

材料

空芯菜

・トウガラシ

・魚(オクラや肉など入れたいもの)

・ポタス(黒いやつ、よく分からない)

・ムタード(黒い納豆みたいなもの)

・塩

・ブイヨン

・水

作り方

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1.鍋にお湯を沸かしておく。


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2.鍋にポタスを入れる。(ポタスを入れないと美味しくないらしい)


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3.空芯菜を洗って細かめに切り、鍋に入れてしばらく茹でる。(ベナンでは野菜の茎は食べないので葉だけ)

 

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4.トウガラシを切って鍋に入れる。(お好みです)


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5.魚を鍋に入れる。(ベナンでは揚げ魚がよく売られており、それを使用)


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6.水に溶かしたムタードを鍋に入れる。

7.塩とブイヨンを鍋に入れ味を整える。

 

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8.煮詰める。

 

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完成!ベナンの主食パット(トウモロコシ粉の練り物)と合わせていただきます。私の口にはしょっぱすぎますが美味しいです。

聞くと、他の野菜で作るソースもやり方は全て同じだそうです。次の畑シーズンではしっかり作り方を説明してそのへんの人に配ってみようと思います。こうやって先輩隊員のやってきたことを繋げられることは嬉しいです。空芯菜の普及も活動の1つになればと思います。

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この家では私が料理を教えてもらっている間に2頭のヤギが2頭ずつ子どもを出産。満月の前日の出来事でした。

犠牲祭(タバスキ)

2018年8月21日はイスラム教で最も大きなお祭り、イード・アル=アドハー(犠牲祭)でした。西アフリカではタバスキ(la fête de la tabaski)と呼ばれています。ヒジュラ暦12月(巡礼月)の巡礼最後の日に当たります。犠牲祭の起源は旧約聖書の創世記22章に書かれているイサクの燔祭。アブラハムが自分の息子イサクを生贄とするよう神に言われ、捧げようとしたその時ヒツジが現れます。そして、天使が彼にヒツジを生贄とするよう言ったのでした。さて、このお祭りは4日間続くそうですが、ベナンではその初日が祝日となっています。朝に集団礼拝をして、その後家に帰って羊などの動物を生贄として捧げ、肉をみんなで分け合って食べます。私の任地であるジュグーはベナン国内で最もイスラム教徒が多いです(多分)。こちらがどのような様子だったのかお伝えできればと思います。

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タバスキの前日、ジュグーで何度も見かけた光景。ウシを買った人が家まで連れて帰る様子。牛一頭20万〜30万Fcfa(4〜6万円)くらいするそうです。ちなみにベナンでは一回の食事が100〜500Fcfa(20〜100円)ほど。牛を買うお金はどこから出てきたのだろうか。

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ヒツジを買った人の子供たちが草むらでごはんを食べさせている。ヒツジ・ヤギは一頭2〜6万Fcfa(4000〜1万2000円)ほど。
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前日の夕方から近くのバリエヌ村へ行きました。私とともにタクシーに乗せられた、明日食べられるであろう羊。
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バリエヌ村は明日のお祭りの準備でにぎやか。美容室で女性は髪を編んでもらったり、男性は綺麗な坊主にしてもらったり。
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彼らも明日には肉なのだろうか。

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翌朝、9時に始まるという集団礼拝の会場へ9時過ぎに出発。さすがベナン、時間通りには始まらない。
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モスクには入りきらないので、広場にて。最前列は村の権力者だろうか。繋がれている立派なツノのヒツジは集団礼拝の後、生贄となります。
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続々と人が集まってきました。前は偉い人、次に男性、そして女性と子どもたちという席順です。
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予定より30分ほど遅れて集団礼拝が始まりました。
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アッラーフアクバル。神は偉大なり。すごい人数、500人はいるだろうか。

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10分くらいでお祈りが終わり、多くの子どもたちと少しの大人たちが帰っていきました。女性たちが飴やビスケットを配っています。子どもたちはそのお菓子の奪い合いを始めます。
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続いてイマーム(指導者)の説教。雨で傘を差す人は皆無に等しいベナンですが、こういう時は傘を使うようです。
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最後に先ほどのヒツジが生贄となりました。
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この儀式にはみなさんあまり興味が無いらしく、説教が終わった時点で人々はどんどん帰っていきました。

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来るのは遅いが帰るのは早い、それがベナン
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村の女性たちはせっせとごはん作り。こちらはヤムイモを蒸し、餅状にしてイニャムピレを作っている様子。犠牲祭の前日日没までと当日の礼拝終了までは断食をするので、みんなお腹ペコペコです。
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歩いていたらこちらの男性に呼ばれてイニャムピレと肉をご馳走になりました。イニャムピレは辛くて美味しいソースにつけて食べます。
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こちらもイニャムピレ作り。ベナンの人々は写真好きが多い。

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ゴマを潰してソースの材料にする女性。ゴマはこの辺り、アフリカのサバンナ原産。

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歩いていたらまたイニャムピレをご馳走になりました。ソースはもちろん肉入りです。
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家に戻ると生贄となったヒツジが横たわってぃした。
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ここがバリエヌ村でいつもお世話になっている家。ベナンの家は大抵長屋で、各部屋にいろんな人が住んでいてイメージ的には日本のアパートのような感じ。シャワーやトイレは共用で別にあります。いろんな人が家族のように暮らしています。
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木につながれていた牛を横に倒して首のヒモを解き、3本の足をくくります。
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暴れる牛を若い男性たちが抑えつけ、村の権力者(?)が首にナイフを入れます。ナイフを持った集団が村を回っていたので、儀式なのだなぁと思いました。

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喉の一部をこのように切り、枝に下げていました。理由は聞かなかったけど、これらは先ほどのナイフ集団が持ち帰って食べるそうです。
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こちらでも牛が犠牲となっています。
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真剣な表情でそれを見つめる子どもたち。数年後には彼らが向こう側にいるのであろう。

 

村を歩けばこっちに来いと肉をもらい、食べ歩く1日でした。そんなに生贄にするか?と思うほど多くの牛や羊が犠牲となっていて、いやいやもういいでしょ、とか、普段肉を食べないのに犠牲祭にはこんなにたくさんの肉を食べるなんて、月に1回犠牲祭があればベナンの子どもたちの栄養改善になるのに…とか色々と思うことはありましたが、これがイスラム教の大切なお祭りであることを感じることができました。来年も見にいきたいと思います。

 

 

※血の吹き出るような写真や動画も撮影はしましたが、今回ここには載せません。見たい方には個人的にお見せしたいと思います。

ヤムイモ祭り

8月15日、ベナンは祝日でした。聖母被昇天祭(L'Assomption)というキリスト教(カトリック)のお祭りのためです。ベナンではこのような祝日に合わせて他の祭りを被せることがあります。というわけで、8月15日はヤムイモ祭(La fête de igname)でもありました。Savalou(サバル)というベナン中部の町ではヤムイモ祭が盛大に行われるようです。私の任地・ジュグーから近いナチテングーでもお祭りが行われるということで、先輩隊員と共に行ってきました。当日の朝、ナチテングー近くのToukountouna(トゥクントゥナ)という街でお祭りを見ようと10時にナチテングーを出発。

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1時間ちょっとで着いたトゥクントゥナのお祭り会場。音楽が流れているだけで、がらんとしていました。聞くと、お祭りは15時くらいから始まるそうです。
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とりあえずトゥクントゥナの市場を見ることに。でかい。
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様々な品種のヤムイモが売られています。

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トウモロコシやコメ、ソルゴーなどの穀類。
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バオバブの種子。左の赤いのは食紅。
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奥の赤くて丸いものはフロマージュと言われるベナンのチーズ。手前にあるソルゴーで赤く染めています。
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ベナン北部の名産品、シアバター
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どこにでもあるトマト。(だいたいニジェールからの輸入品)

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スーパーフード、モリンガ。
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綺麗なふるい。
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中古衣料品。
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ベナン布。
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日用品。

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親しく感じたので石鹸を買いました。200Fcfa(40円)。
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市場を出ると、タクシーに載せられるたくさんのヤムイモが。
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バイクにはたくさんの鶏やホロホロ鳥、ヤギ、ヒツジ。

 

トゥクントゥナのお祭りは待てないので、ナチテングーへ戻ってきました。博物館前の広場でもお祭りがあるようです。
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こちらも夕方から本格的なお祭りとなるようですが、お昼でもイニャムピレというヤムイモを餅状にしたものを食べることができました。お祭り用、ワンプレート+飲み物で2000Fcfa(400円)。ソースは3種類から選べました。

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博物館の広場にはおみやげ屋さんがたくさん。

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夕食はナチテングーを一望できるホテルトトラにて。食事は安いですが、微妙でした。綺麗でプールもあるのにもったいない。

 

ヤムイモ祭はみんなでイニャムピレを食べるお祭りのようでした。ナチテングーは相変わらず素敵な場所で、ゆっくり過ごせて良かったです。すでに4回も行っているのにブログに何も書いていなかったので、そのうち楽しいナチテングーの様子をアップしたいと思います。それではみなさん、よい週末を。